『GUILD01(ギルドゼロワン)』レビュー
2012.07.08 Sunday
「GUILD01」とは有名ゲームデザイナー(+芸人)によるオムニバス作品です。
とりあえず全て区切りがつくところまでクリアしたので、それぞれの作品のレビューをお届けします。
【解放少女】
近年よくある美少女シューティングで、オープニング・エンディングアニメにも力が入っていて歌もノリがよく耳に残ります。
JK大統領がぴっちりパイロットスーツに身を包み可変戦闘機で敵地に臨むという如何にもな設定はSUDA51氏のイメージではありませんが、微妙にズレたキャッチーさが彼らしいと言えるのかもしれません。
ゲーム的には任意スクロールの「レイストーム」という感じ。
アナログキーで自機を操作し、タッチペンでロックオン(レーザー)攻撃。バシバシとロックオンシュートで殲滅するのは爽快で楽しいです。
難易度は低めでサクサク進みますが、最終面のボス戦で急激に難しくなったのは難儀でしたねぇ。イージーモードでやり直そうかと思いましたよ。
全体的に悪くはないんですが、途中よく会話シーンが挿し込まれて流れを止められちゃうのは勘弁して欲しかったです。
スカッと終わってくれないエンディングもどうかなと。
【エアロポーター】
個性的なゲームを出す印象の人ですが、今回もあまり派手さがなく4作品の中で一番地味な印象ですが、落ち物や絵合わせ系でもないあまり見ないタイプの実に良質なパズルゲーでした。
簡単に説明しますと、空港のベルトコンベアを手動で操作し色分けされた旅行かばんを同色階層の飛行機に積み込むって内容。上のスクリーンショットを見ていただければだいたいどんな風に遊ぶのか想像つくのではないでしょうか。
荷物や色数が少ないうちは仕分けも簡単でコンボを狙えたりしますが、ステージが進むと途端にテンテコ舞い。
これが実にもどかし楽しいw
時折入る特殊荷物や危険物の運搬ミッションもアクセントが効いていますね。
あまりこの手のゲームは得意じゃないので最後までは辿り着けませんでしたが、サクッと短時間でプレイできる「エアロポーター」は「GUILD01」の中で一番お気軽なのが良かったです。
オムニバスの中にこういう小粒な良作が入ってると全体が引き締まるってもんですよ。
ただ、3DSのゲームである必要性が低いかなという気もしました。
スマホアプリでありそうな内容で、紹介欄に★4つぐらいの評価がついてそうなゲームです。
【クリムゾン シュラウド】
GM(ゲームマスター)役の人が舞台や状況を説明し、PC(プレーヤーキャラクター)が戦士や魔法使い役になりきって自分たちの行動を決め、時にダイス(サイコロ)に運を任せ冒険を達していくという遊びです。
代表的なのが「Dungeons and Dragons」。テーブルトークは知らなくても「D&D」の名は知ってるという方も多いでしょう。
その面倒なGM役をコンピュータにやらせようとして作られたのがご存知「Ultima」や「Wizardry」なのですが、「クリムゾン シュラウド」はそのテーブルトークをまんまコンピュータゲームに落とし込んだような内容です。
私も学生の頃に友人とD&Dやってましたが、まさか20年以上後にコンピュータ上で4面や12面ダイスを振ることになるとは予想だにしませんでしたよw
制作は「伝説のオウガバトル」「タクティクスオウガ」で名を上げたカリスマデザイナー松野泰己氏。
「GUILD01」の中で一番のビッグネームだけに期待も大きかったのですが、いざ始めると戸惑いの大きいゲームでした。
システムは前述のとおりテーブルトークを模したもの。
要所要所で数種のダイスを振って成功失敗判定や補正値などを決定(さすがに1から10まで全てダイスロールさせられる訳ではありませんが)。
登場キャラはビネット(土台)付フィギュアそのまんまで、戦闘時にゴトゴト動いたり倒れる程度のアニメーションがあるだけでキャラ自体は全く動きません。炎や雷などの戦闘エフェクトも無し。
物語の展開も静止画と小説風の文章で語られ、普通のRPGとはやや異なります。
とにかく徹底しすぎだろうってくらい飾りっけが無い。
戦闘・探索・物語の要素に絞ったとの話ですがさすがに絞りすぎではないかと思わざるを得ません。
戦闘は地味だし、移動も表示もモッサリでテンポが悪いし、キャラの成長要素すらないし(装備は強化できる)でなんじゃこりゃと思いましたね。
松野も昔の名前で売ってるだけの人になっちゃったか…と。
しかし、戦い方を把握し慣れてくると徐々に面白さが解ってくるようになります。戦略を立てコンボを狙いダイス目に一喜一憂。
「面白れぇじゃねぇかw」と。
固く焼いたスルメをしがむようなゲームです。マヨも何もなし。
最初は食べづらいし味しないしで美味しくないんですが、だんだんにじみ出てくる深く素朴な味わい。
しかしあわない人も多いことでしょう。私も懐かし補正が無ければどう判断していたかわかりません。
それとサイコロって良いツールだなあと改めて感じましたね。
4面ダイスより20面ダイスのが遥かに有利ですが、だからと言って必ずしも大きい目が出るとは限らないのがミソ。苦労して得た20面ダイス振って出たのが1ってフザケンナと憤るも、ただの数字見せられるよりダイスを転がるのを見てれば納得させられてしまう説得力があります。
【レンタル武器屋 de オマッセ】
やれることは3つのみ。武器作り・手入れ・ドナイナッター。
曲のリズムに合わせて熱した鋼をトンカン叩けば武器の一丁上がり。叩き様によって斬や打の値が変化しますので、音ゲーの要領で創りあげていくのです。
手入れはタッチペンでキュッキュとこすればOK。
なんとも地味ですが、職人の日常ってそんなもんなんでしょう。
素材探しの旅などもあれば良いのになと思いますが、それやっちゃうと「アトリエ」シリーズになりますしね。
膨らませる要素は多々あるでしょうが、ボリュームよりまとまりを優先したとすれば現状で正解かと考えます。
で、ドナイナッターというのはTwitterのパクリ(と作者が言っている)で冒険者の進行状況を教えてくれるものですが、まさに旅行などに行ってる人がマメにツイートしてるのを読む感覚そのまんま。
冒険終了後の返却時にどうだったかを教えてくれるのでドナイナッターを読む必要性は低いのですが、やはり気になって読んじゃいますねぇ。この辺りもTwitterと同じです。
薄っぺらい物語を大仰なムービーで見せつけられるゲームが多い中、このプレーヤーと物語の距離感ってのはなかなか新鮮でした。
ただ、冒険者が魔王を倒した後が物凄いブッタ斬りな終わり方してるのと、7人の冒険者のうち1人がナンジャコレENDだったのがなんとも…。
「GUILD01」てモヤモヤENDにしなければならないって統一ルールでもあるの?
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4作品+「タイムトラベラー」体験版という盛り沢山な内容なのでそれぞれが小粒なのはしょうがないでしょうが、どれも個性があって光る部分のある良い競演パッケージに仕上がっていました。
開発費の高騰で挑戦的なゲームが作りにくくなっている昨今、小規模作品はスマホなどにフィールドを移していますが、やはりゲーマーとしてはゲーム専用機で出してもらいたいところ。
開発者もその想いはあるでしょうから「GUILD01」のような試みは非常に面白いし是非参加したいと思う人も多いのではないでしょうか。
出来れば外部から「まさかこの人が!?」というビッグネームを招集して欲しいですよね。宮本茂とか小島秀夫とか堀井雄二とか。
「GUILD02」の発売も予定されていますし、今後も03・04・05とシリーズを続けていって欲しいと願います。
とりあえず全て区切りがつくところまでクリアしたので、それぞれの作品のレビューをお届けします。
【解放少女】
第二代新日本大統領 大空翔子、出馬します!
「ノーモア★ヒーローズ」や「ロリポップチェーンソー」などグラインドハウス調の作風でカルトな人気を集めるSUDA51こと須田剛一氏の作品です。近年よくある美少女シューティングで、オープニング・エンディングアニメにも力が入っていて歌もノリがよく耳に残ります。
JK大統領がぴっちりパイロットスーツに身を包み可変戦闘機で敵地に臨むという如何にもな設定はSUDA51氏のイメージではありませんが、微妙にズレたキャッチーさが彼らしいと言えるのかもしれません。
ゲーム的には任意スクロールの「レイストーム」という感じ。
アナログキーで自機を操作し、タッチペンでロックオン(レーザー)攻撃。バシバシとロックオンシュートで殲滅するのは爽快で楽しいです。
難易度は低めでサクサク進みますが、最終面のボス戦で急激に難しくなったのは難儀でしたねぇ。イージーモードでやり直そうかと思いましたよ。
全体的に悪くはないんですが、途中よく会話シーンが挿し込まれて流れを止められちゃうのは勘弁して欲しかったです。
スカッと終わってくれないエンディングもどうかなと。
【エアロポーター】
思い通りにならない楽しさ
「The Tower」や「シーマン」の斎藤由多加氏によるパズルゲーです。個性的なゲームを出す印象の人ですが、今回もあまり派手さがなく4作品の中で一番地味な印象ですが、落ち物や絵合わせ系でもないあまり見ないタイプの実に良質なパズルゲーでした。
簡単に説明しますと、空港のベルトコンベアを手動で操作し色分けされた旅行かばんを同色階層の飛行機に積み込むって内容。上のスクリーンショットを見ていただければだいたいどんな風に遊ぶのか想像つくのではないでしょうか。
荷物や色数が少ないうちは仕分けも簡単でコンボを狙えたりしますが、ステージが進むと途端にテンテコ舞い。
これが実にもどかし楽しいw
時折入る特殊荷物や危険物の運搬ミッションもアクセントが効いていますね。
あまりこの手のゲームは得意じゃないので最後までは辿り着けませんでしたが、サクッと短時間でプレイできる「エアロポーター」は「GUILD01」の中で一番お気軽なのが良かったです。
オムニバスの中にこういう小粒な良作が入ってると全体が引き締まるってもんですよ。
ただ、3DSのゲームである必要性が低いかなという気もしました。
スマホアプリでありそうな内容で、紹介欄に★4つぐらいの評価がついてそうなゲームです。
【クリムゾン シュラウド】
GM「マジックミサイル 2D4+2のダイスロール。あなたはコボルトに4ダメージを与えた。」
テーブルトークRPGというボードゲームをご存知でしょうか?(ボードゲームとも言い難いのですが)GM(ゲームマスター)役の人が舞台や状況を説明し、PC(プレーヤーキャラクター)が戦士や魔法使い役になりきって自分たちの行動を決め、時にダイス(サイコロ)に運を任せ冒険を達していくという遊びです。
代表的なのが「Dungeons and Dragons」。テーブルトークは知らなくても「D&D」の名は知ってるという方も多いでしょう。
その面倒なGM役をコンピュータにやらせようとして作られたのがご存知「Ultima」や「Wizardry」なのですが、「クリムゾン シュラウド」はそのテーブルトークをまんまコンピュータゲームに落とし込んだような内容です。
私も学生の頃に友人とD&Dやってましたが、まさか20年以上後にコンピュータ上で4面や12面ダイスを振ることになるとは予想だにしませんでしたよw
制作は「伝説のオウガバトル」「タクティクスオウガ」で名を上げたカリスマデザイナー松野泰己氏。
「GUILD01」の中で一番のビッグネームだけに期待も大きかったのですが、いざ始めると戸惑いの大きいゲームでした。
システムは前述のとおりテーブルトークを模したもの。
要所要所で数種のダイスを振って成功失敗判定や補正値などを決定(さすがに1から10まで全てダイスロールさせられる訳ではありませんが)。
登場キャラはビネット(土台)付フィギュアそのまんまで、戦闘時にゴトゴト動いたり倒れる程度のアニメーションがあるだけでキャラ自体は全く動きません。炎や雷などの戦闘エフェクトも無し。
物語の展開も静止画と小説風の文章で語られ、普通のRPGとはやや異なります。
とにかく徹底しすぎだろうってくらい飾りっけが無い。
戦闘・探索・物語の要素に絞ったとの話ですがさすがに絞りすぎではないかと思わざるを得ません。
戦闘は地味だし、移動も表示もモッサリでテンポが悪いし、キャラの成長要素すらないし(装備は強化できる)でなんじゃこりゃと思いましたね。
松野も昔の名前で売ってるだけの人になっちゃったか…と。
しかし、戦い方を把握し慣れてくると徐々に面白さが解ってくるようになります。戦略を立てコンボを狙いダイス目に一喜一憂。
「面白れぇじゃねぇかw」と。
固く焼いたスルメをしがむようなゲームです。マヨも何もなし。
最初は食べづらいし味しないしで美味しくないんですが、だんだんにじみ出てくる深く素朴な味わい。
しかしあわない人も多いことでしょう。私も懐かし補正が無ければどう判断していたかわかりません。
それとサイコロって良いツールだなあと改めて感じましたね。
4面ダイスより20面ダイスのが遥かに有利ですが、だからと言って必ずしも大きい目が出るとは限らないのがミソ。苦労して得た20面ダイス振って出たのが1ってフザケンナと憤るも、ただの数字見せられるよりダイスを転がるのを見てれば納得させられてしまう説得力があります。
【レンタル武器屋 de オマッセ】
アメザリは甲高い声のツッコミの方しか記憶に無かった
松竹芸人の平井善之氏(アメリカザリガニ)による作品で、武器を作ってレンタルし冒険者のサポートをするといった内容です。やれることは3つのみ。武器作り・手入れ・ドナイナッター。
曲のリズムに合わせて熱した鋼をトンカン叩けば武器の一丁上がり。叩き様によって斬や打の値が変化しますので、音ゲーの要領で創りあげていくのです。
手入れはタッチペンでキュッキュとこすればOK。
なんとも地味ですが、職人の日常ってそんなもんなんでしょう。
素材探しの旅などもあれば良いのになと思いますが、それやっちゃうと「アトリエ」シリーズになりますしね。
膨らませる要素は多々あるでしょうが、ボリュームよりまとまりを優先したとすれば現状で正解かと考えます。
で、ドナイナッターというのはTwitterのパクリ(と作者が言っている)で冒険者の進行状況を教えてくれるものですが、まさに旅行などに行ってる人がマメにツイートしてるのを読む感覚そのまんま。
冒険終了後の返却時にどうだったかを教えてくれるのでドナイナッターを読む必要性は低いのですが、やはり気になって読んじゃいますねぇ。この辺りもTwitterと同じです。
薄っぺらい物語を大仰なムービーで見せつけられるゲームが多い中、このプレーヤーと物語の距離感ってのはなかなか新鮮でした。
ただ、冒険者が魔王を倒した後が物凄いブッタ斬りな終わり方してるのと、7人の冒険者のうち1人がナンジャコレENDだったのがなんとも…。
「GUILD01」てモヤモヤENDにしなければならないって統一ルールでもあるの?
---
4作品+「タイムトラベラー」体験版という盛り沢山な内容なのでそれぞれが小粒なのはしょうがないでしょうが、どれも個性があって光る部分のある良い競演パッケージに仕上がっていました。
開発費の高騰で挑戦的なゲームが作りにくくなっている昨今、小規模作品はスマホなどにフィールドを移していますが、やはりゲーマーとしてはゲーム専用機で出してもらいたいところ。
開発者もその想いはあるでしょうから「GUILD01」のような試みは非常に面白いし是非参加したいと思う人も多いのではないでしょうか。
出来れば外部から「まさかこの人が!?」というビッグネームを招集して欲しいですよね。宮本茂とか小島秀夫とか堀井雄二とか。
「GUILD02」の発売も予定されていますし、今後も03・04・05とシリーズを続けていって欲しいと願います。
- 和ゲー レビュー
- 10:58
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