『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』レビュー
2011.06.15 Wednesday
(バトロワ+逆裁)x大山のぶ代
様々なゲームをやってると「これはイイ!是非とも広めたい!」と思う良作を見つける事は誰にでもあるかと思います(ゲームに限ったことではありませんが)。
何十万・何百万本と売れるタイトルは広める必要が無いのでそうは考えませんが、数万本あるいはそれ以下レベルのゲームでアタリを引いた時の喜びがそういう気持ちに転化するのでしょう。
今回の「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」はまさにそんなゲーム。
ゲーム自体はオーソドックスな犯人探し系テキストアドベンチャー。コンピュータゲーム黎明期から存在するジャンルです。ちなみに犯人はヤスかかどうかはナイショw
舞台は閉鎖された「超高校級」の学生が集められた高校という設定で、第三者に知られることなく誰かを殺せばそこから脱出できるという条件を与えられており、殺人が起これば加害者を学級裁判にて割り出すってのがゲームの本筋となります。
そう、「バトル・ロワイアル」+「逆転裁判」ですねェ。
特にその学級裁判が一番のキモですので「逆転裁判」の遺伝子を強く受け継いでいると言っていいでしょう。
しかし単なる亜流ではありません。
学級裁判は加害者を含めた全員で議論しあうのですが、ゲーム的には「ノンストップ議論」や「マシンガントークバトル」などシューティングやリズムアクションのような複数のシステムで構成されているという一見ややこしい作りとなっています(どれも一度やればわかるシンプルなものですが)。
このお陰で裁判シーンも適度に変化がついて緊張感がありダレることがありません。
意欲的に盛り込みすぎて一歩間違えばシステムマシマシナンイドタカメで破綻しかねませんが、巧くバランスのとれた絶妙のさじ加減に仕上がったかと思います。
「逆転裁判」はキャラの濃さが見どころの1つでしたが、「ダンガンロンパ」も引けを取りません。なにせ「超高校級」の面々ですからw 主人公も含めて15人+1匹もいますが、どいつもこいつも個性的ですのですぐに把握出来ます。実際主人公が一番地味ですしねw しかし個性的と言ってもヤンキーやらオタクやらのテンプレートを濃い味付けにした人物が大半なので、ありがちキャラばっかりとも言えるでしょうが。
中でも+1匹であるモノクマ(cv. 大山のぶ代)はファンシーでキュートでお茶目さんで残虐暴虐鬼畜王という愛すべきキャラで超必見!って言うかコイツ無しに「ダンガンロンパ」は成立しません。
こんなキャラは和ゲーならではですねェ。
オマエラ、プレイしないとおしおきしちゃうよ〜?
外界から隔離された生徒たちは物語が進むたび(殺人が起こるたび)にメンバーはどんどん減ってゆきます。押しキャラが殺された、あるいは犯人だった時の無念さはこのゲームならでは。
親密度を上げるようなミニイベントがあるだけに尚更です。
表層ではいがみ合いつつも絆を深めていくという学園モノの王道を辿るのですが、その1枚皮の下に澱む疑心暗鬼より生じる不安定さに様々な「欲」や「妬み」が絡まり、殺人が犯されてしまう。
その表裏の乖離が「ダンガンロンパ」のポイントと言えましょう。
全体としてはシナリオや設定等にツッコミ所が多々あるのは事実(こんな世界観でしょうもないツッコミ入れること自体がヤボってモンですが)。しかし重箱の隅をつついアラをほじくり出してもそれらを吹っ飛ばすだけの力がこのゲームにはあるのです。
そう、巧く伝えられなくて恐縮ですがこの「ダンガンロンパ」には非常にパワーを感じます!
裁判の展開っぷりやキャラの突き抜け具合で言えば「逆転裁判」の方が上でしょう。システムやゲームデザイン等々諸々を1つ1つ採点すればアベレージは高いものの大きく何かが飛び出ている訳ではありません(モノクマは例外的にスッゴく突き抜けていますが)。
ただ、1+1が3にも4にもなり。さらなる相乗効果を産み出して稀有なパワーを持つ痛快な作品になっているのです。
100人やって大半が面白いと言うゲームではないかもしれませんが、この良さは特筆もの。
一見の価値ありですぞ。
発売元のスパイクは今後もこのシリーズを続けたいそうですが、あまりにも特異な設定でしたので「ダンガンロンパ2」ってのはどうなのかなァと思わないでもないです。
舞台やキャラは一新しないとダメでしょうしね。
しかし出来るなら、あのモノクマとはまた会いたいと願っています。
登場人物からすれば絶対二度と会いたくないでしょうけどw
- 和ゲー レビュー
- 18:15
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