『God of War III(ゴッド オブ ウォー3)』レビュー
2010.04.15 Thursday
クレイトス・サーガ最終章
一応、当ブログはレビューブログということで、洋邦合わせて60本以上のレビューを書き綴って参りましたが(こんなに書いてたんだと我ながらビックリw)、中でもシリーズを通じて大絶賛し続けているタイトルがあります。
そう、我らがクレイトス先生がギリシャ神話の神々相手に殴り込みをかける超弩級冒険活劇「God of War」シリーズです。
今までPS2で2本、PSPで外伝1本をリリースし、今回はPS3という新たな戦さ場で「God of War 3」の発売となりましたが、まさに私はこれをやりたいが為にPS3を買いました。
興奮、堪能、心酔、そして賞賛!
クリアした今ならばPS3を手放しても問題ありませんね(手放しませんがw)。
しかし、指折り数えて発売を待ち望んでいたとはいえ、若干の懸念がなかったわけではありません。それは何かと言いますと「ただPS3のマシンパワーに頼るだけで、ゲーム自体はあまり変わっていないんじゃないか?」ということです。
「God of War 2」の時点でPS2タイトルの中では最高峰の美しさを見せつけていましたし、最初っからバカ高いゲーム性を誇っていただけに伸びしろが低いのは事実でしょう。
で、実際プレイしてみたところ、正直言ってゲーム性の進化と言う点はあまり感じませんでした。
道中のザコ戦→ギミック謎解き→ザコ戦→ボスというシークエンスはずーっと変わらずでややマンネリですし、謎解きも「前こんなんあったよな」と思うこともしばしば。
しかしマンネリ感や既知感もシリーズ全てをプレイしてきた人間だから感じることであって、今回初めてか過去1作ぐらいしかやったこと無い方には関係のない話ですが。
そりゃ4回もやりゃあ「一緒やん」と思うシーンがあるのは致し方ないでしょう。
しかし「ただPS3のマシンパワーに頼るだけで〜」は懸念でも杞憂でもなく、むしろ「PS3のマシンパワーを最高に引きずり出している」と言い改めるべき。
前述の通り私は「God of War 3」がPS3の最初のゲームなので他のPS3タイトルがどの程度のレベルなのかは知りませんが、それでも「これほどのゲームは滅多に存在しうるものじゃない」という事は分かります。
元からダイナミックな展開でプレイヤーを魅了してきた「God of War」が更なる表現力を得てより果てしない高みへと登りつめた、というべきでしょう。
特に、終盤の超巨大ボスは「流石にコレは無理だろ!」と叫ばずにいられない相手ですが、クレイトス先生による空前絶後の敵に引けを取らない苛烈圧巻な激闘に、ゲームに登場する武器「ハデスの鉤爪」によってテレビの中に魂を持って行かれるような思いでした。
ま、そこが凄すぎた分、ラスボスがショボく感じちゃいましたがw
プレイアビリティや演出面の向上は単にマシンパワーによるものだけではありません。
例えば敵を残虐に倒す「CSアタック」の入力ボタン表示が○□×△ボタンの配列に応じた画面表示がなされ直感的な入力が可能となりましたし(これは他のゲームも見習って欲しい)、移動可能な足場を動かす際、横や後ろに引くより前に押すのが早いので過去作品よりスピーディに移動できるようになったとかが地味に嬉しかったりします。
演出面で目新しいのはしばしば敵あるいは自分視点のカメラ位置になることでしょう。
序盤のボス・海神ポセンドン戦などでは、怒濤の闘いを繰り広げた後のフィニッシュは視点はポセンドン視点となり、クレイトス先生に痛めつけられる生々しさと恐怖感そしてプレーヤー自身の加虐性にうち震えることになるでしょう。そして最後は左右のアナログスティック同時押しによるまさかの目潰し!(上の画像参照)
このスティッククリック時のグリッって感覚が!感触がッ!!!
私は他人に「God of War」を勧めるときに「最初の1時間にGoWの良さが全て集約されている」と言いますが、「God of War 3」もまさにその通りでした。
しかしここで「無理!」と判断される方も多いかもしれませんがw
しかし、ポセンドン戦なんてのは序盤も序盤。これ以降ではケンタウロスのはらわたを引きずり出したり、太陽神ヘリオスの首をもぎ取ったりと相変わらずの蛮勇っぷりを見せつけてくれますので、グロ耐性の低い方は早々に手を引かれるのが賢明でしょう。
迷わずやれよ。やればわかるさ。
しかし「God of War 3」がいかに素晴らしいといえども不満点は流石に幾つかありました。
まず、メイン武器が4種あるうち3種は鎖鎌系でどれも大差ないこと。しかも私的にはもう1つの殴り武器が一番楽しかったので鎖鎌系になおのこと価値を見いだせませんでしたね。
2つめは空を飛ぶシーンが時々ありますが、これがやたら難しかったこと。完全なパターンゲームなので覚えちゃえば何て事ないんですが、上下移動のキー設定がリバース仕様なのが痛かった…。
そして最後は、中盤の謎解きで1つ世界観にそぐわないアホらしいものがあった事です。「God of War」シリーズは所々に謎解きが入るのが基本ですが、これは過去最低の謎解きでしたわ。
謎解きに関して言えば、後半に出る庭園のものは新しく且つ適度な難易度で良かったですね。それ以外は今まで通りの感じでしたが。
些細な欠点はあるものの、総じて言えば「素晴らしい!」と賞賛するより他にありません。いつも通りの無駄にグダグダ長ったらしいレビューを書きましたがやはりその一言に尽きます。
PS3を持っていてグロに耐性があるなら間違いなく買うべきです、プレイすべき大傑作です。シナリオ的に過去作をやってないとよく分からない点もあるでしょうが、そこは無視するか「1」と「2」がPS3向けにリマスターされた「ゴッド・オブ・ウォー コレクション」を買って通してプレイしてください。
出来ればPSPの外伝「落日の悲愴曲」もやればなおグッド。
ズバリ、「God of War 3」やらずしてアクションゲーム好きを称するな。
あらゆるジャンルには必見必読なものがあるでしょうが、ことアクションゲームに関してはこれは間違いなく「必プレイ」です。
♪中年はみんな〜 昨日の勇者 オゥイエ〜
以降は全くの余談です。もう暫くお付き合いください。
かつてのいわゆるジャンプ黄金期に掲載されていたものなかに「聖闘士星矢」という漫画がありました。「God of War」と同じくギリシャ神話を下敷きにした傑作漫画です。
聖闘士星矢は今度のゴールデンウィーク(2010年)映画「タイタンの戦い」の監督自身がファンでインスパイアを受けたと言っているように日本はもとより世界中でヒットした作品でした。
なお無駄知識ですが、連載されていた80年代後半はオタク文化が大きく花開いた時代でしたが、同時に今で言うところのボーイズラブである「やおい」もその時代の花の1つとしてにわかに脚光を浴び始めたころでもあります。そしてその中心作品となったのが「キャプテン翼」「ゴッドマーズ」そして「聖闘士星矢」でした。
「聖闘士星矢」は「友情・努力・勝利」というジャンプ漫画の王道中の王道といえる、まさしく「日本らしい」作品でしたが、対する「God of War」は写実的でマッスル信仰のパワー重視でいかにも「アメリカらしい」作品です。
加えて言うならば、異端者(かつて人間だったクレイトス先生)が私怨によって昔からある文化(神々の住まうオリュンポス)を壊滅させようと奮闘する姿は「我こそが正義」なアメリカの姿にダブって見えてしょうがありません。
時代は異なると言えども同じ素材から作った大ヒットコンテンツが、片や腐女子のネタにされるような熱血少年漫画で、片やムキムキマッチョの成人向け残酷ゲーム。
どちらも私は大好きですが、双方の違いが文化の違いとも言えて、なかなか興味深い両者ではないでしょうか?
【関連】『God of War(ゴッド オブ ウォー)』レビュー
【関連】『God of War II(ゴッド オブ ウォー 2)』レビュー
【関連】『God of War: Chains of Olympus(ゴッド オブ ウォー:チェーンズ オブ オリンポス)』レビュー
- 洋ゲー レビュー
- 02:05
- comments(11)
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他のレビューブログとは一味違った内容がすばらしいな〜と関心するばかりです。
GOW3は私も最近クリアしたばかりなのですが本当にすばらしい、そして今後のゲーム界に影響を与える作品ですよね。
PS3だけで言えばアンチャーテッド2の時にも大きな進化を感じたのですがGOW3はさらにレベルをあげてくれましたね。
音ゲーの導入と、セリフの翻訳が前作までに比べて稚拙になったことだけは気になったところですがそれ以外はほぼ満点のゲームかと思います。
ご存じかも知れませんが飛行時の上下設定はセレクトボタンでオプション変更できるのでノーマルにしたら楽ですよ♪
長々と失礼しました。