『The SABOTEUR(ザ・サボター)』レビュー
2010.02.06 Saturday
※日本未発売
占領下のおフランスざーんす
テレビゲームが他の娯楽とくらべて優れている点とは何でしょうか?
私は「楽しさの種類が圧倒的に多い」ことだと考えます。
弾を発射して敵機を破壊するカタルシス。
技を駆使して相手を打ちのめす爽快感。
何度もトライしプレーヤー自身の腕が上達する喜び。
横に並んでの同時プレイやネットを介しての対戦といったコミュニケーション。
美しいグラフィック魅せられ、染みいるサウンドに酔いしれての視聴。
難解なパズルを解いた時に「俺って頭イイ!」と悦に浸る快感。
琴線に触れる物語に涙し歓喜し心揺さぶられる喜び。
エ○○で○○○○する。等々。
そして「シェンムー」以降新たに項目に加わったのが「観光」という楽しさでしょう。
「シェンムー」では横須賀や香港、「GTA IV」ではニューヨークをモチーフとしたリバティーシティを、「Mercenaries」では北朝鮮やベネズエラとなかなか行けない国を見て回れるのが興味深かったですね(どこまで正確に再現してるかってのは別として)。
さて、そして今回紹介します「The SABOTEUR」。この舞台となるのは1940年のフランス。ナチス・ドイツによる占領下にあるパリなのです。
これがヒジョ〜に良く作られています。どこまで正確なのかは知る由もありませんが、当時の街並みをかなり忠実に再現している模様です。
ムーラン・ルージュを模したキャバレーから始まり、石畳の道を通ってモンマルトルの丘へ。夜闇に浮かぶ凱旋門に見とれ、エッフェル塔の頂上からダイビング。セーヌ川で一泳ぎした後は飾り窓や中華街などを散策するのも良いでしょう。
フランスの音楽ってのはよく分かりませんが、流れてくる楽曲も実にそれらしく雰囲気は満点です。占領下にあるだけに陽気な曲ってのは殆ど無く、どことなく愁いを帯びている曲が多いのもまた良い選曲かと。
主人公ショーンはナチに対するレジスタンスの一員としてパリ解放に向けて破壊活動に従事するといった内容ですが、ゲーム開始時のパリは街中全てモノトーンの色調で表現されており、占領地域を解放するとカラー表現に変化します(「大神」の大神降ろしのような感じ)。モノトーンといってもナチを表す「赤」やレジスタンスの「青」などアクセント色も加わって非常に美しい。むしろ解放してカラーになるとガッカリするぐらいです。
そしてッ!美しいのはパリの街並みだけではありません。
そう、パリジェンヌのおっぱいもまた然りなのですッッッ!!
まずゲームを開始しますと「The SABOTEUR」というロゴと同時におっぱいがドーン!!そのおっぱいからカメラが引いていってキャバレーの様子が映し出されて導入ムービーが始まると言った具合です。
主人公の最初のアジトはそのキャバレーの隠し部屋。そこから扉を開けると乳房もあらわな女だらけのdokidoki控え室。主人公が現れても胸を隠す訳でもなく「ハァ〜イ、ショーン」と声をかけてきます。
もちろん店内には乳嬢で溢れていますし、さらに地下にある秘密ステージに行くとおっぱいダンサーズによるムービーが4本も見られるというエロティカスペシャル!
これぞまさにおっぱいパビリオン!仏語でいうとPavillon de Poitrine !
ここは浅草ロック座か?十三ミュージックか?
なんとも羨ましい部屋に潜んでいるのでしょうかッ!?私がショーンならばパリ解放そっちのけで1日中引きこもってますよ!
なお、この「The SABOTEUR」を作ったのはPandemic Studiosという開発会社で、過去に「Destroy all humans !」や「Star Wars: Battlefront」に「Mercenaries」等と当ブログでも取り上げた数々の作品を生み出したスタジオなのです。
しかし、残念なことにこの「The SABOTEUR」を最後に閉鎖となってしまいました。
>Pandemic Studios 最後の48時間(by Choke Point)
嗚呼、素晴らしい巴里反撃団 夢と希望と明日と正義を讃える
システムとして目新しいのが「壁登り」です。
建物の窓や排水パイプなどにつかまり、ひょいひょいとよじ登っていくのです。これはありそうで案外無かった要素。もちろん「Riot Act」や「PROTOTYPE」のような超人スキルではなく、ある程度普通人レベルの登り。当然高所から落ちれば即死します。
これがあることでかなり行動範囲は広まり、屋根から屋根への隠密行動やナチからの逃走にも役立つのです。このシステムは是非他の箱庭ゲーでも標準的に導入していってもらいたいですね。
そしてその「ナチからの逃走」ですが、警戒エリアから脱すればセーフ。エリア内にナチがいれば逃げられないという「GTA IV」と同じシステムですが、街中至る所にナチが居るのでスピード早い車で逃走しても逆に全然いつまで経っても逃げられません(追いかけてくる車両も速い)。
逃げ抜けるには退避エリアに入るのと、あとは娼館に逃げ込むか、街の女性とキスをして恋人を装うかです。うぅん、オ・ト・ナのゲームでんなァw
こういう味付けもまた「花の都パリらしい」と言えるのではないでしょうか?
難易度はやや低め。というのも主人公が結構撃たれ強く回復も早いので、割と力押しでどうにかなっちゃいます。
例えば、特定地点に爆弾を仕掛ければクリアというミッションだとして、周囲の敵兵を1人1人倒してから仕掛けに行ってのが理想ですが、即座に発見され対応しているうちに警戒レベルがグングンあがりにっちもさっちもいかなくなるって事がよくあります。むしろ逆に警戒レベルの低いうちに被弾上等で特攻し爆弾設置してクリアってのが手っ取り早いケースも。
軍服を奪ってドイツ兵に扮したり、こっそり背後からのステルスキルなんて要素もありますが、全くプレーヤーが把握出来ない箇所から発見されてバレたりする事がよくあるので、ついついランボープレイになりがちです。
私はそういうのも爽快感があってイイと思いますが、アサシンプレイを良しとする隠密ゲーマーにはややストレスかもしれません。
他に目立つような欠点は見受けられませんでしたが、1つ気になったのが先述の「おっぱい」について。
これは普通にゲームをスタートすれば見られるのではなく、パッケージに同梱されているパスワードを入力もしくはダウンロードコンテンツとして購入すれば、キャバレーのお姉さん方のバストトップがめでたくお目見えとなるのです。
つまり、おっぱい見たくば新品買うか中古ならDLC購入しろと。
これって、どうよ?
新たに追加項目をダウンロードするのではなく、プログラムにあらかじめ仕込まれている物を別途金払わせてアンロックなんてのは賛成しかねます。しかも特殊な服装や武器とかでしたら欲しいヤツが買えばイイじゃんと思いますが、おっぱいってのはズルい!汚い!そりゃ見たいに決まってるじゃないですか。是非とも!遮二無二!一心不乱に!
そういう男子の真っ当な願望を突く商売ってのはアコギだと言わざるを得ませんね。
違いの分かる男
「The SABOTEUR」を一言で言うと「ケレン味に欠けるが手堅い良作」です。
確かにパリは非常に良く出来ています。流れる音楽や人々の装い、市民に暴力をふるうナチ兵、重厚なドイツ軍車両などなど戦時下の空気を上手く表現していると思います。
しかし、欲しいのはそこじゃない。
冒頭の観光云々の話と矛盾するようですが、私が求めてるのはそこじゃァない。
Pandemic Studiosの「Destroy all humans !」や「Mercenaries」は欠点こそあれどもそれを凌駕する「個性」がありました。大作には適わないが、この一点では他には負けないぞっていう強烈な個性です。
しかし「The SABOTEUR」はなまじ出来がイイ分、そういう点が薄くなってしまっているかなと感じましたね。ちょっと惜しい。
もっと、ゲーマー魂を揺さぶってくれるような「何か」が欲しかった。
しかし、良作であることには違いありません。この不満も完成度の高さ故にもっともっとと言ってるだけですので、箸にも棒にもかからない凡作ならばこんな事は言いません。何か良い箱庭ゲーはないかとお探しの御仁に、是非一度お試し下さいと安心して奨められるゲームです。
200万本売れる国民的RPGもイイですが、私ぐらいキャリアを積んだ老練なゲーマーともなればこういった「隠れた渋い名作」をずばりと嗅ぎ当ててさらりとプレイっていう粋でナイスなスタイルを今後も通していきたいものですよね。
ホント言うと、おっぱいに釣られて買ったら案外面白かった。ってのが真相ですケドw
- 洋ゲー レビュー
- 00:59
- comments(7)
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私も釣られた所が一緒なのでw 動機不純かもしれませんが、今は乳ゲーであることを忘れて、劇中の雰囲気に飲まれていってます。派手さを求めない、渋い作品だなあと。
まだ飛行船から落ちたところなので、これからですが、アラーム上がると怖くなって逃げちゃうチキンっぷりでなかなか進まないw やはり突破も手なんですかね。
夢と希望と明日と正義を讃える!良かったw そこに少しでも結びついたのは私だけでなくてwww