『Godfather 2(ゴッドファーザー2)』レビュー
2009.05.24 Sunday
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ゴッドファーザー 哀のゲーム
ご存じ名画中の名画、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」。その続編である「ゴッドファーザーPARTII」のゲーム化したのが今回の「Godfather 2」です。
※筆者は映画・ゲームの前作は未見です。
映画本編はイタリアンマフィアの悲哀と愛憎と男たちの生き様を描いた重厚な作品ですが、ゲーム版はひと言で言えば「薄い」。
折角「ゴッドファーザー」という超重厚な素材を使っているのにもかかわらず、実に軽薄。
メインシナリオは早い人なら10時間ぐらいで終わります。サブミッション的要素もまるでなし。核である縄張り拡大も同じ事の繰り返し。
残念ながら実に物足りない作品でした。
プレイ上で大部分を占めるのが、縄張りの拡大。
マップ上に点在する工場やナイトクラブなど当初は敵対するマフィアの支配下にありますが、そこへ殴り込み。配置されてる用心棒どもを蹴散らし最深部にいるオーナーをとっつかまえて恐喝して従属させる、という具合です。
基本的には楽しいです。けどずーっと終始ソレってのは流石にどうよ?と。酒場でもガソリンスタンドでも建築現場でもやる事は一緒。マップが違うだけ。ひねりが足りませんね。
繰り返しやらされるのはまぁイイとしても、せめてもう少し変化を付けて欲しかったです。ただ殴り込んで制圧して占領!なんて直球な事ばかりなじゃく、例えばオーナーの身内を拉致ったり遠回しに攻撃して身の危険を感じさせて脅迫とかでしたら、よりマフィアっぽくなったんじゃないでしょうか?
メインシナリオも非常に単純。
縄張り拡大以外にする事と言えば、誰かに会って話ししろ!電話に出ろ!○○へ行け!と命令口調で完全無欠の1本道。
この見事なまでのやらされ感。和ゲーかと思いましたw
シナリオ展開もやや気になります。敵対組織の登場、いざこざ勃発。までは割とちゃんと描かれていますが、それ以降は投げっぱなし。抗争が始まるとその組織はもう話題に上りませんし、壊滅させてもそれっきり。
それにメインシナリオ以外の部分が殆ど無いも寂しいですね。「GTA IV」や「Saints Row2」では「サブ要素が楽しすぎてシナリオが全然進みません!」なんてことがよくありますが、「Godfather 2」はそれが無いのでシナリオを進める以外になく、そかもそれがすぐに終わってしまうのでどうしようもない。
さらにはクリアしてエンドロール見た後はまた自由に街を動けるのですが、本当に何もする事が無く一体どうしろと!?ってな状態。
確かにマフィアのドンたる者がタクシーの運ちゃんやクスリの売り子やったりするのはちょっと違うでしょう。ましてや車にピンボールみたいにはねられまくる(全裸で)ってのはもっと違いますw
だから何もないじゃなく、マフィアのドンらしきサブミッション等を用意してくれていればもっと深くその世界を楽しめたでしょうに。
逆を言えば、そこの本編以外の「らしい」部分をもっときっちり示してくれていればこの作品の評価は全然違ったモノになったのではないでしょうか。
あととてもストレスだったのが移動です。
主人公はジャンプできない仕様なのでヒザぐらいの高さの段差も超えらません。その為、すぐそこに目的地があるのに僅かな段差のためにわざわざ遠回りしなくてはならないのが非常にウザい。例外的に窓などYボタンで飛び込めますが、それも出来るかどうかは近づかなくては分かりません。
「Godfather 2」はこの手の洋ゲーにしては珍しく、マップ内に見えない壁が存在するタイプです。
他にもいろいろと「これはどうよ?」と思う点は多々ありますが、言うとキリがないのでこの辺で。
どこまでもついて行くでヤンス
で、まったくダメかというとそうでもありません。いいなと思える点は幾つかあります。
特にファミリーの存在。
要は子分です。子分を引き連れて殴り込みしたり、破壊活動に行かせたり縄張りのガードをさせたりします。子分にはそれぞれ爆破が出来るとか治療が出来るとかの特殊能力があり、それを上手く活用させれば攻略が楽になるのです。特に治療スキルはお役立ち。HPが0にされてダウンしても治療できる子分が近寄ってきて蘇生呪文をかけてくれるようなイメージです。
この技が出来るやつが1人いれば病院送りにはなかなかなりません(便利すぎる気もしますが)。
コスチュームも自分の思う服を着させられますので、ファミリー全員同じ服でもいいですし、自分がアカで子分を青・黄・桃・緑とナントカレンジャー的にするのも定番でしょう。
子分を連れられるのは「GTA Sanandreas」や「Saints Row」でも既にありますが、それらはちょっと役に立つオプション程度だったのに対し「Godfather 2」はもう1歩進化しているのがイイですね。
あ、もう1つ特殊技能がありました。
例えば3人引き連れてる時に2シーター車をかっぱらった時、車に乗れない子分は「何かあったら呼んで下さい」と言いますが、しばらくドライブして車から降り、ふと振り返ると何ということでしょう、そこには別れたはずの子分が!w
どんなに置き去りにしようとぴったりついてきます。フロリダでガードマンさせてる子分をキューバの抗争に呼び出せば瞬時に現れます。
マニュアルに記載されていませんが、彼らは瞬間移動の技も身につけているのですッ!w
ひと言で言えば、偉大な原作を貶めただけのゲームです。
和洋古今問わず原作付きゲームは駄ゲーになることが多いのですが、「Godfather 2」もその例に漏れなくおちいってしまいました。
ダメ押しでもう1つ、これはどうよ?という点を。
ナイトクラブやら何やら色々ありますヤミ稼業のなかで1つおかしなモノがありました。
それは「黒砂糖の密造」。
何で黒砂糖!?
禁酒法の時代で密造酒ってんなら分かりますが、黒砂糖てw 恐らくオリジナルでは麻薬系のモノだったんでしょうが…ここで黒砂糖を持ってくるセンスに脱帽ッ!
でもまァ黒砂糖っても「Saints Row」で言うところの「サプリ」のようにドラッグの隠語なんだろう、と思ってました。が、一般人から受けるミッションでの会話で「俺の妹があの男に黒砂糖漬けにされ、カロリーオーバーで無惨な姿にされちまった…奴を殺してくれ!」なんてのが。
カロリーオーバーて!
まじブラウンシュガーかよ!
…ええと、すみません。
ここって笑うトコですか?
コミカルさやシニカルさみたいな部分がまるでないゲームだけに違和感アリアリ。
真面目な委員長がウソを繕うためにとっさについたギャグか何かよく分からん言い訳を聞いたような微妙な心地悪さを感じました。
- 洋ゲー レビュー
- 03:01
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