『Grand Theft Auto: Chinatown Wars(グランド セフト オート チャイナタウン ウォーズ)』レビュー
2009.04.12 Sunday
※日本未発売
■ポケットの中の中華街戦争
2008年、360・PS3の次世代機向けに発売された「GTA IV」は「ややビジュアルがイマイチ」なGTAシリーズのイメージを根幹から覆す超絶グラフィックと市街の圧倒的な作り込みと稀に見るクオリティ誇るゲームをでした。
誰もがGTAは今後この路線で進むのだろう、と思いましたが、新作「Grand Theft Auto: Chinatowan Wars」はまさかのニンテンドーDSでの発売。
携帯機向けGTAはPSPにて「Liberty City Stories」と「Vice City Stories」がすでに発売されており、こちらは携帯機向けのダウンサイジング版といった趣でしたが、縮小版と言ってもそれ相応のスペックを持ったPSPだからこそ可能だったのは言うまでもありません。
当初、「DSにてGTAの新作が発売!」と発表されたときは「大丈夫か?」と思い、2D時代を彷彿させる「見下ろし型視点」は「GTA IV」とのあまりのギャップに正直ガッカリ。私以外のGTAファンもそう思われた方も多いのではないでしょうか?
世界一売れたゲームの新作が世界一売れている機種で発売される。
発売元Rockstargamesの親会社Take-Twoの経営も少々危ないとも聞きますので、ビジネス面からすれば当然の選択でしょう。時間も経費もかかるハイデフ機でなくお手軽な携帯機で安価に開発してガッツリ儲ける。
,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;;
{;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; DS版なんてライトユーザー向けのお子ちゃまGTA、
ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゙
`Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;> そんなふうに考えていた時期が
,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙: Y;;f 俺にもありました
~''戈ヽ `二´ r'´:::. `!
否ッ!断じて否ッ!
お子ちゃま向けどころかメッチャヤバい!ヤバすぎて日本での発売が危ぶまれるほどヤバい!
■ハードの性能の違いが面白さの決定的差でないことを教えてやる!
まずは上画面のグラフィック。
確かに静止画はショボイ。認めざるを得ません。
しかし実際動かしてみると分かりますが実にグリグリ動きます。速い車に乗ったときのスピード感も申し分なし。さらには時間に応じて影が移動し、天候の変化もあり。
DSの3D性能でここまで出来るの!?と驚きを通り越して感動すら覚えます。
舞台であるリバティシティの街はGTA IVとほぼ変わらぬ街並みで、大吊り橋や幸福の女神像、タイムズスクウェア的なところ等々、名所も余すところ無く再現。よくぞこれほど広大な3Dマップを納めた物です。
視点を見下ろし型にすることで表示オブジェクトの数を相当減らすことが出来ます。ポリゴン能力の貧弱なDS版にとって最適な選択でしょう。
しかし反面、高低差が分からないというデメリットも生んでしまっています。
低い壁ならばジャンプで飛び越えられますが、低いか高いかはやってみなければ分かりません。それに伴いスタントジャンプ台もちょっと見落としがち。僅かながらでも視点移動させて欲しかったですね。
見下ろし型とカーナビの存在ゆえマップが全然頭に入りませんし(困ることはありませんが)。
そして下画面のタッチパネル。
基本的にはマップの表示や武器・ラジオの選択などの使いますが、マップが今回はとても高性能となっています。一度見つけたサブミッションや麻薬取引・メッタ殺しの場所などは自動的にマップに残り、任意の場所にマーカーを設置するとも可能。カーナビ用に一時的に置くことも出来ます。勿論こういった機能は据え置き機でも可能でしょうが、タッチパネルとの親睦性は素晴らしく高い。
車を盗むシーンやスクラッチカード・タトゥー彫り・契約書のサイン、様々なシーンでタッチパネルを使用する場面が出てきます。非常にバリエーション豊富で飽きさせません。
手榴弾や火炎瓶などの投擲武器もタッチパネル使用ってのも面白いですね。
サブミッションも麻薬取引を始め、タクシーやパトカー・救急車のほかデリバリーに市内レースとGTAではお馴染みの物が勢揃いですので遊び応えは満点!メインミッションそっちのけでサブミッションばかりやってるという状況に陥ったプレイヤーも多そうです。
その他、下画面の配置カスタマイズや道路を自動的に真っ直ぐ走らせてくれるドライビングアシスト機能など、「洋ゲーは不親切」という過去の一般論は全く「GTA: Chinatowan Wars」には当てはまりません。
ただ、ゲームのシステムやインターフェイスになんら不満はありませんが、幕間デモの演出がやや弱いかなと思いした。
日本のテキストアドベンチャーですと、盛り上がるシーンや怒りのセリフなどは文字を大きくしたり画面を揺らしたりとか何かしらの演出が入りますが、そういうものはまるでなく会話が淡々と進むのみです。会話グラフィックも顔のアップばかりでもうちょっと色々作って欲しかったところ(1カ所ビックリする絵がありましたが)。
セリフのボイスってのもありませんのでリーディングのみでストーリーを理解しなければならないのも個人的につらかったデス。洋ゲーはヒヤリングよりリーディングが出来ればイイと思ってましたが、やはり両方あるのがベストですね。
■取引場所まで何マイル?
不満と言うわけではないのですが、麻薬取引をはじめ車を盗むときの演出ですとか要所要所の犯罪行為が妙に具体的なのがちょっと気になりましたね。
麻薬取引はヘロインとかコカインとかそのまんまな名前で登場し、アイコンも注射器やカミソリといった苦笑せざるを得ない物。聞くところによると本場アメリカでもこの件に関していろいろ議論があがってるそうです。
(でもこの取引が楽しいのがまた困ったところw)
ここ最近の日本のゲーム事情では暴力・残酷制限がやや緩和されつつあるように思いますが、薬物に関してみれば厳しく制限されています。「Saints Row」や「GTA vice city」ではクスリを隠語で扱ってすり抜けていましたが、今作ではかなりおおっぴらに、取引行為を根幹に据えていますので、「GTA: Chinatowan Wars」日本語版は現状ではちょっと厳しいように思われます。
車の鍵穴にドライバーを突っ込んでエンジンをかけるってのもよくある手口とはいえ、ストレートにそれを出すのはなァ…と。これをプレイして真似するバカが出てしまうんじゃないかと思うのは考えすぎでしょうか?
■この風、この肌ざわり、この匂いこそGTAよ!
出るまでは半分ネタ扱いされていた「GTA: Chinatowan Wars」ですが、ところがどっこいいざ蓋を開けてみると非の打ち所のない完成度を誇るシステムで、街中で戦車を乗り回すわチェーンソーで斬りつけると真っ二つになるわと「GTA IV」が捨ててしまったハチャメチャさが大復活!少々難易度が低いきらいがありますが、実に「GTAらしいGTA」となっています。
DSの出来るところ出来ないところを的確に見極め、そのハードに応じたゲームシステムを再構築したRockstargamesの手腕には完全に脱帽です。海外の評価も非常に高く、数あるDSゲームの中でもトップクラスの面白さであることは間違いないでしょう。
DS持ってるGTAファンならばマストバイ!持ってないならハードごと買っても損は無し!です。
前述の通り日本語版は怪しいと思いますので、攻略wikiを見ながらのプレイってのもイイでしょう。
今回は「Chinatowan Wars」のサブタイトル通り、チャイニーズ・マフィアの抗争を描いた作品です。最初にこの名前を聞いたとき、新作が出る嬉しさと共にジェラシーもまた感じてしまいました。
なんで日本のヤクザじゃないんだよッ!
主人公ホァン・リーの所属するTriadsは「GTA III」から出ている古株なのでアリっちゃあアリなんでしょうが、今作の中ではジャパニーズ・ヤクザは登場しない代わりに新登場のコリアン・マフィアとかが出てきています。
ううむ、日本の存在感が薄くなってしまってるな…と危惧せざるを得ません。
DS版の次回作を大いに期待していますが、出来れば同じく「III」に登場したカサイ一家の物語でお願いしたいトコロです。
期待していますよ!Rockstargamesさんッ♪
- 洋ゲー レビュー
- 23:43
- comments(9)
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Rockstargames・・このての犯罪に詳しい社員でもいるのでしょうか?
これが日本と海外の常識の違いなんでしょうねww