『Manhunt(マンハント)』レビュー
2006.11.15 Wednesday
*日本未発売
「人狩り」と言う名のゲーム
2004年7月、イギリスで少年による殺人事件が起きました。
少年は「Manhunt」をプレイしており、「暴力的なゲームによる悪影響で青少年が殺人を起こしてしまった」と英メディアでは一時期大きな話題となったそうです。
こういったゲーム害悪論という話は日本でも時折盛り上がりますので「またスケープゴートにされてる」という印象を持ちがちですが、この「Manhunt」に限って言えば「あり得なくもない」と思わざるを得ない、そんなゲームです。
They just killed Cash.
Now they want to kill him again.
死刑囚キャッシュは「自由を得れらる」という約束の下、スナッフビデオ(殺人シーンを納めた映像)の撮影に協力する事になります。謎のプロデューサーの私兵に連れて行かれ、廃墟・屋敷・墓地・路地裏などで暴漢達を闇に紛れて1人1人血祭りに上げていく、といった内容です。
陰に潜み、近寄ってきた敵の背後から忍び寄り、真後ろから攻撃する事によって「一撃で仕留める」、これが基本戦術となります。武器は刃物・鈍器・銃器・ワイヤー系、そしてポリ袋と様々な上、攻撃ボタンの長押しによって殺人モーションが3段階に分かれます(評価値が変わる)。
バールを脳天に突き刺したりとかとか、
鉈で首を刈り落としたりとか、
バットで首を絞めて気絶させた後フルスイングとか、
まともな人間なら正視できないシーンの満干全席!!
ようつべにてそのシーンをまとめた動画が見れますが、オススメはしません。自己責任に於いてご覧下さい。
このゲームの特徴として、主人公が弱いという点が挙げられます。ゲームの主人公ってのは鉛玉を数発喰らっても平気な顔している奴らが多いもんですが、キャッシュは攻撃れさるとかなり呆気なく死にます。ですので向かい合ってドツキ合うのはタイマンならなんとかいけても2人目や複数相手は無理。先述の「闇に潜んで背後を取って必殺」が必須となるのです。
見つからない様に影から影へ移り、物音などで敵をおびき寄せて背後に寄る…プレイ中の緊張感は尋常じゃありません。BGMも低いボリュームでの重低音や高音と異常にシンプルなのに不安感・焦燥感を煽られます。1ステージ1時間程度で終わりますがクリア時には達成感よりも疲労感と脱力感に襲われ、続けてプレイは精神衛生上オススメできません。
しかし後半は銃器が使える様になりますので緊張感は和らぎます(威力の弱い銃だとなるべく引きつけた方が良いのは一緒ですが)。
最凶・最狂にして孤高のゲーム
「怖い程の緊張感」「すぐ殺される」「異常な暴力表現」「耳障りなBGM」「狂気に満ちあふれた世界観」ネガティブ要素のカーニバルですが、極限の緊張感と生々しい殺しの手応え、ずばり「面白い」です。高い難易度と暴力表現を許容出来るかどうかで評価は人によってかなり異なるでしょうが、私としては最高に面白いゲームでした。
かつてこれだけバイオレンス度の高いゲームは無かったでしょうし、アメリカでも審査機関から物言いが入ったらしいので、今後これを越えるゲームは出ないのかもしれません。
冒頭のイギリスの他、世界各地で発売禁止となっている「Manhunt」ですが、輸入販売はされていますが日本語化はされていません。GTAレベルの暴力表現が問題になっているこの国では「Manhunt」の一般流通はありえません。
私はそれでイイと思います。
私はなにか悪い事があったらすぐにゲームのせいにする風潮は大ッ嫌いですが、このゲームに関して言えば、青少年が悪影響を受けるのもあり得ると思わざるを得ません。
仮に私の子供が中学生ぐらいでこの「Manhunt」をプレイしていたとすれば、殴ってでも辞めさせるでしょうし。
ちゃんと物事の判断が付く成人にのみこのゲームをオススメします。人を殺めて興奮するという暗い愉悦の味わえる希有なゲーム、他人にプレイしている姿を見られません様に…。
【関連】『Manhunt 2(マンハント2)レビュー』
- 洋ゲー レビュー
- 17:31
- comments(46)
- trackbacks(10)
- -
- -
- by Pin