『BIOSHOCK(バイオショック)』レビュー
2008.06.30 Monday
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見事なまでの三重苦
昨年・2007年の洋ゲーは「God of War 2」をはじめ「Gears of War」「HALO 3」「Call of Duty 4」「Skate」「Portal(OrangeBox)」と非常に良作に恵まれた豊作の都市でした(殆ど弾撃ちゲーだなw)。
そしてそれら並み居る強豪をはねのけて数々の【Game of the year 2007】の称号を勝ち取ったノーマークのタイトルがありました。
それが今回紹介します「BIOSHOCK」です。
基本的に私はFPS(一人称視点での銃撃戦ゲーム)はやらないので「BIOSHOCK」はまったく注視していませんでしたが、発売されると同時にネットの方々で「これはイイ」「凄く面白い」という意見を見受けられるようになりました。
FPSシューターはもちろんそれ以外からも好意的な意見が寄せられ、レビューサイトでは軒並み高得点。そしてそれが数々の受賞に繋がるのでした。
翌年ようやく日本語版が出ましたが、暗い世界観・FPS・萌え要素ゼロと日本で売れる要素は潔いほどにありませんw
しかし!見た目だけで判断しないでください。
スルーするにはあまりに惜しいゲームですから。
ゲーム好きを自認するなら是非とも中身を見て下さい。恐縮ですが。
rap・ture[ rptr ]
[名][U]((しばしば〜s))狂喜, 大喜び, 有頂天;狂喜の言葉[表現, 声, 叫び]
設定は1960年ですが、舞台となるのは40年代に建設された海底都市ラプチャー。
宗教や政治といった制約から解き放たれた学者やアーティストのための理想郷として築かれた都市ですが、主人公の辿り着いた今では狂気と崩壊に瀕した死を待つ廃墟。
ここで謎の男に助力を請われた主人公は街の深淵に向かうのでした…、というプロローグです。
結論を先に述べますと、「BIOSHOCK」は非常に素晴らしく面白いゲームでした。
「Game of the year」総なめってのも納得です。
では具体的にどこが良かったのか?と3つの点が挙げられます。
まず1つめは「RPG的要素」です。
謎を解き明かしながら前に進むというストーリーを味わう部分と、様々な要素を身につけることでパワーアップしていく成長を楽しむ課程。
感触としてはFPSというよりもアクションRPGに近い印象ですね。戦闘部分が銃撃戦だというだけです。銃器以外にも炎や氷、幻術魔法のような攻撃も出来ますし。
幻術系の技が多彩ですので、これらを上手く使っての攻防が楽しいんです。特に各所で登場するこのゲームの象徴的存在ビッグダディを思い通りに倒せた時なんて、してやったり!て感じですね。
練りに練られたストーリーもまた秀逸!
そして2つめは「狂気の演出」。
ラプチャーはADAMという人間の能力を上げる麻薬のような物質に侵された凶人スプライサーが巣くう街で、まともな人間はごく僅かしかいません。
しかしいかに凶人といえどもスプライサーになる前はまともな普通の人間でした。そしてその名残りを知ることが出来るのが各所に置いてあるボイスレコーダーです。それらを耳にすることで徐々に障気に浸されてゆく中に身を置く人々の息づかいをリアルに感じることができます。
他にも切り刻まれたポスターや血にまみれた手術台、踏み散らされたプラカードなど、端々にその背景が透けて見えるさりげない演出はラプチャーという狂気の街の雰囲気を否応がなしに盛り上げてくれます。
そして日本語版では全編フルボイスって点が非常に素晴らしい!主要人物達のセリフはもちろん、スプライサー達の独り言までもです。この恩恵はとても大きいですね。どうしても字幕ではフォローしきれない部分ってのは出てきますが、日本語ならば余す所無くその世界に浸れます。日本版の発売元スパイクには素晴らしい仕事をしてくれたと喝采を送りたいですね。
英語が分からないためストーリーを把握出来ないというデメリットをもってしても、私は洋ゲーはなるべく「その空気」を感じるために海外版をプレイするのが望ましいと思っています。が、この「BIOSHOCK」は全日本語化によってその空気をもあますところなく伝えてくれています。
これは日本語版でプレイすべき洋ゲーです。
そして最後は「美しき舞台」。
前述の「40年代に建設された」ってところが「BIOSHOCK」を語る上で外せないポイントです。アール・デコ調のモダンな様式で統一された海底都市ラプチャーはあまりに魅力に満ちあふれた街。建築物だけでなく、ちょっとしたポスターや小道具、インターフェイスにまで全てに配慮が行き渡っています。
紛争地域や未来都市の廃墟は見慣れた存在ですが、こんな独創的で美しい廃墟は見たことありません。
まさに「朽ちた淑女」というべき倒錯した美がそこにあります。
私はグラフィックが綺麗!とか舞台の作り込みが凄い!というのはあまり評価対象としていません。それはいくら見た目が良かろうとゲームの面白さという本質に直結していないと思うからです。
どんなに絵の上手い漫画家でも作品が面白いか否かは別問題、ということです。
しかし「BIOSHOCK」は完璧に統一されたデザインコーディネートにより、2番目に挙げた「狂気の演出」を幾重にも飛躍させています。これがありきたりな崩壊都市でしたらここまで絶賛されていただろうか?とすら思えます。
なんでプレーヤーすぐ死ぬん?
散々絶賛しましたが、問題ないかと言えばそんなことはありません。
武器や技が瞬時に欲しいモノが出せないとか、字幕がいつまでも残るバグがあるとか些細なこともありますが、特にこれはどうかな?と思ったのは「復活」についてです。
敵にやられれば死にます。で、定位置より復活します。
ここまではイイです、普通です。
問題は「敵に与えたダメージまで継続」されることです。
普通よくあるのは「死ぬと「時間を巻き戻した状態」で定位置により再スタート」です。
中ボス戦などでしたら、もう1度登場シーンを見せられてまた最初から戦います。
しかし「BIOSHOCK」では敵のダメージは継続。
これはどういう事かと言えば、どんな強敵でも特攻&玉砕の繰り返しでいつかは勝てます(さすがにラスボスはその対象外ですが)。
つまりプレーヤーの「死」に対するペナルティ非常に軽いってことです。
「BIOSHOCK」では様々の特殊能力やトラップを駆使して戦う所が面白いのですが、それをしてもしなくても良いというのは間口が広いというのとはちょっと違うんじゃないでしょうか?
死に対する恐怖がないのは、どうしても緩慢なプレイになってしまいます。
その場で復活するアクショゲームを無制限コンティニューしているような感じでしたね。
テレビゲームというのは挫折と達成の繰り返しを楽しむ点が一番の基本だと私は思っています。
必殺技が出せるようになった、嬉しい。
友達に対戦で負けた、悔しい。
腕を磨いて勝てるようになれた、嬉しい。
ハードルが矢継ぎ早にくるのをどんどん飛び越え、時には躓いて、徐々に高いハードルをクリアしていく。これがゲームの醍醐味でしょう。
そのハードル設定のチューン次第でゲームの出来が決まると言っても過言ではありません。
「BIOSHOCK」はハードルに躓いてもまるで痛くない、ここが私が残念に思ったポイントでした。
幼女がワンサカ出ますけど…
冒頭でも書きましたが、やっぱ日本じゃ売れんでしょうなァ。
何本売れたのかはよく分かりませんが、今のところ360とPCだけですから1万行ったか行かないか、ぐらいでしょうか?
まァ私も借りてやったので売り上げには協力してない訳ですがw
外人さんが描いたイラストだそうですが、リトルシスターがこんな感じだったら売り上げ倍は違ったかもねw
でもね、でもね、これでも相当可愛くなってるんですよ。
なんせ、リトルシスターの初期案ってコレ(↓)ですから。
怖えーよ!
- 洋ゲー レビュー
- 19:12
- comments(12)
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リトルシスターをハーベストした時に、
体内から出てくるエイリアン的な敵性生物にも萌え要素がないと思うのです。
初期案リトルシスターに命乞いされたら
エレキボルトとレンチのコンボ+ハーベストですねぇ。