『Manhunt 2(マンハント 2)レビュー』
2007.11.26 Monday
*日本未発売
SATSUGAIせよ!SATUGAIせよ!
「Grand Theft Auto 3」で一気に名を馳せたRockstargames社が産み出した最狂バイオレンスゲーム「Manhunt」。
そのあまりにも残忍かつ猟奇的な殺戮シーンの数々に世界中の「良識派」から糾弾され物議を醸し出しました。
そして4年後、満を持しての続編「Manhunt 2」が発表!
良識派もグロゲーマーもあわせて絶叫・阿鼻叫喚!
しかもリリース直前になってESRB(アメリカのゲームレーティング審査団体)より「AO(成人指定)」のレートを付けられそうになり、慌てて殺戮描写を自主規制することによって「M(17歳以上)」での発売にこぎ着けたという発売直前からなにかと話題を呼ぶタイトルでした。
(アメリカではAOタイトルは販売店が限られる為、流通上非常に不利になる)
前作の主人公キャッシュは殺人犯の死刑囚で人を殺める事にためらいを覚えないサイコパスでしたが、今回の主人公ダニーは精神病院の入院患者。突如起こった停電にて病院内で暴動が発生。
盟友レオと共に脱出に成功しますが、彼らは謎の集団に執拗に追いかけられます。
「二人」の逃亡と真実の追究の旅が始まるのでした。
殺人×ギリギリモザイク
さて、その「自主規制」ですが、SATSUGAIシーンを直に見せないエフェクトがかかる仕様となりました。カメラ位置も微妙にズレてますので前作のような直接描写ではありません。
それってどうなの?と問われれば、別に気にならないってのが感想でしたね。
最初は「何じゃこりゃ、目がチカチカするわ」なんて思いましたが、数面クリアすればコレはコレでアリかも、なんて思えてきます。直接じゃない分、エグく見えるという具合で。
おっぴろげの無修正よりモザイクかかってる方がやらしく感じる様なモノですなw
これもESRB対策でしょうが、前作はステージ終了時に評価値が出てましたが今回はそれは無し。殺害レベルを白黄赤どれで殺ってもモーション以外何も変わりません。
ですので高評価クリアを目指してガンバル!というモチベーションも持てませんし、ヘタなリスクを背負う理由がありませんので、より安全に白SATSUGAIがベターとなってしまうのはあからさまなゲーム性の低下です。
私としてはこちらの方が問題に思えましたね。
技の1号・力の2号もといゲームの1作・話の2作
ハッキリ言って前作の方が良かったです。
シナリオで言えば、前作は「スナッフビデオの撮影」という目的の下で動いていたので殺人にもきちんと理由づけされていましたし状況がステージ毎に変わる理由にもなっていました。しかし今作のテーマは「精神病患者の逃走とその裏にある陰謀」なので殺人の動機としてはやや弱いですね。
今回はシナリオに力点が置かれているのでやや説明的で前作のようなストイックさはありません。
しかしそのシナリオは結構良かったです(100%理解してる訳ではありませんが)。
サイコホラー物としては十分なストーリーだったと思います。
しかしラストがやや意味不明。オマケの16面目も蛇足ではないかと。
アクションゲームとして見た場合、難易度は確実に下がっておりゆとり仕様になってます。難しい方がイイとは一概に言えませんが、このゲームでは「見つかれば殺られる」という緊張感がゲーム上の大きなポイントですので、難易度が低いのは自ずとテイストが下がります。
ここの攻略は厳しいとか、武器のやりくりが大変だ、とかもう少し厳しい方が良かったですね。
しかし新しいフィーチャーとしてマップ上のドクロマークの箇所でアクションを起こせば特定のモーションでのSATSUGAIが発動するので、そこらを有効活用するように意識してればかなり楽しめます。
配電盤で電気ビリビリとか巨大なフックに引っかけて吊り上げるとか。
それと、ちょっと頭をヒネらなきゃ突破出来ないポイントがあるってのは最近のアクションゲームの流行なのでしょうかね。そういう仕掛けは否定しませんが、Manhuntというゲームには合ってないように思います。
抽象的な意見かも知れませんが、前作に濃く渦巻いていた「狂気」がManhunt 2では薄まった気がしてなりません。
異形な敵の造形、恐怖感の演出、耳障りな環境音、そして舞台背景。前作は残虐シーンよりむしろその「狂気」の演出こそが出色なゲームだったんだと改めて気付きました。
欠点は相変わらず
発売前のインタビューで「敵AIは賢くなってる」なんて話が出てた様な気がしますが覚え違いだったのでしょうか?敵さん相変わらずバカです。
「暗がり」という安全地帯にいる限りは目の前にいるにもかかわらず見えてません。主人公の目前でキョロキョロしてます。どんだけ鳥目なんだよw
あとたまに地形に引っかかってグルグル回ったりブルブル震えたりするのはひじょ〜に興ざめ。もうちょっとスムーズにやれんかっちゅうねん。
それとガンアクションの存在。
すぐに諦めるという敵のマヌケさ加減に加え、強力な銃器(特にマシンガン系)で多数相手も苦になりません。前作同様にスニーキングアクションゲームが銃器を手にした瞬間に出来の悪いTPS(三人称視点シューティング)へと変わります。銃の登場はもっと抑えて欲しかったですねェ。
つまり、不満点は前作のマンマです。なんら改善されていません。
期待だけはし続けたいですね
総括すれば、希有な存在だった前作には及ばないが、シナリオは合格点。といった所でしょう。
余りにも前作「Manhunt」は至高の存在すぎました。同じRockstargames名義でも開発スタジオが異なるそうですし、やはりESRBをはじめ世間があまりどぎついモノを許してくれない、というのもあるのかもしれません。
では「Manhunt 3」は出るのかと問われれば、私は出ないのではと思います。
360やPS3レベルのグラフィックでManhuntを作ればそりゃあ凄いものが作れるだろうと想像に難くありませんが、今の時点で待ったがかかる情勢ではさぞ作りにくいでしょう。
前作レビューの文末に「今後これを越えるゲームは出ないのかもしれません。」と書きましたが、本当にそうかもしれません。
しかしそれが良い事なのか悪い事なのかは、私は分かりません。
勿論、いちプレーヤー・いちマンハントファンとしてはいつまでも待っていますがねw
【関連】『Manhunt(マンハント)』レビュー
- 洋ゲー レビュー
- 18:27
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超分かるwww僕も昔からそうでした・・・。
まだ僕は途中でPSP版の無修正版と同時進行で進めてますが、
修正が入って無くても前作を越える事は出来なかったと思います。
充分僕は楽しめてますが、マンハントの冠が付く以上期待値がでか過ぎたんでしょうね。
R☆の次なるイカレ発想に期待です!(褒め言葉)